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ミック・オヘア著(勅使河原まゆみ訳)『わたしのハムスターを化石で残すには?: アマチュア・サイエンティストに贈る驚くべき実験の数々』を読んだ。

メインタイトルだけを見ると、シャレたタイトルのミステリー小説のようにも思えるし、深遠な哲学的議論の書物にも見える。僕も本屋でこの本を見かけて、タイトルの意味がさっぱりわからなくて、気になって手にとってしまったクチ。
実際には、サブタイトルにもあるとおり、"サンデー・科学者" 向けに家で簡単に試せる実験の紹介をしている本。もとは、イギリスの科学週刊誌 "New Scientist" の中のコーナーだったらしい。読者からの素朴な疑問を、実験を行って説明するというもの。そのため、扱っている現象が日常生活でよくある話だし、実験のやり方も簡単だし、その説明や理論的根拠がしっかりと説明されていて、マジメな読み物。
中身はマジメなんだけれど、著者の語り口が軽妙で、いちいち笑える。

"Science for All Americans" というのは、アメリカの科学教育改革のために作られたドキュメントらしい。
しかし、その内容は科学の基本的な考え方を網羅的に説明したものらしい。
結構、骨太で、良いドキュメントらしい。
#僕は、英語版をちらっとしか見ていない。

いろいろ香ばしい事情があって、現在、2つの邦訳が存在している(片方は完成直前)。

日米理数教育比較研究会版 (PDF; 1.7MB)
Science For All Americans翻訳プロジェクト版 (HTML; 現在はblog形式)

今日は、日本学術会議シンポジウム「ゲノムから心まで: 心の先端研究拠点への展望」(心理学・教育学委員会)に行ってきた。

前半は3件の特別講演。後半は、日本学術会議 心理学・教育学委員会メンバーによる、1人6分のトーク・リレー。
僕のヒーロー、ヒロインがたくさん集まってて、大興奮だったナリ。

中でも、下條信輔さん(僕の青春のヒーロー)のトークが知的に興奮したので、それだけメモ書き。
#それ以外の話は、気が向いたら書くかもしれない。


話題は2つあった。

ヒトの色覚について。
人の色覚(赤・緑・青色)の適応課題は、植物/果実への適応だけではない。他者の顔色(血流量による赤み)を読み取るという社会的適応課題もあった。実験データが合致する。

ヒトの選好について。
赤ん坊は新奇刺激を選考する(e.g. 馴化/脱馴化パラダイム)。成人は、新奇刺激選好と親近刺激選好(e.g. 単純接触効果)の両方がある。「刺激の特徴の分散が大きいときには新奇選好、分散が小さいときには親近選考」と考えると実験データによく合致する。例えば風景写真は分散が大きい(山 vs 海)から新奇選好がおき、人の顔は(他の刺激領域に比べれば)分散が小さいから親近選考が起きる
とかとか、おもろかった。


日本学術会議シンポジウム「ゲノムから心まで:心の先端研究拠点への展望」(リンク先はPDF)というのが、2008年2月2日(土)に京都大学で開催されるそうだ。

講演者やパネリストを見ると、当方のヒーロー、ヒロインが目白押しなので、万難を排して見学に行こうと思う。
たとえ、カワイコちゃんからデートのお誘いがあっても、それを断って京大に行く。
多分そんなことはありえないけれど、もしカワイコちゃん2人からのお誘いだったら、ちょっと後ろ髪が引かれるけれど、やっぱり京大に行く。それくらいの決意だ。
#カワイコちゃん3人以上だったら、よく考える。4人だったら、このシンポを蹴る。


NHK爆笑問題のニッポンの教養の2007年5月25日23時放送分に関する予告によると、北海道大学の山岸俊男先生への取材が放送されるとのこと。

「ヤバい経済学」

気鋭の経済学者 Steven D. Levitt(優しそうでハンサムな顔立ち)が、社会調査データを分析し、世の中の人々が思い込んでいる一般常識(本書の中では「通念」と訳されている。原著では "the prior beliefs" らしい)を痛快に覆してくれる。

例えば、「日本の大相撲の八百長を暴く」(カド番の時とそうでないときについて、同じ対戦相手との勝敗成績を手がかりにして実証)とか、「麻薬の密売人は儲かっていそうなのに、なんで母親と同居しているのか?」(理由は、麻薬の"末端"密売人は全然儲からないから)とか、「子供の年間の死因を見れば、銃よりもプールで溺れ死ぬ方が多い。銃じゃなくて、プールを規制すべきでは?」(ウケ狙いだと思うけれど、まぁ、データはその通り)とか書いてある。

この本、世の中を煽るような内容と文体なので、単発の話題づくりの本にも見えてしまう。
しかし、詳細までよく読めば、現代のミクロ経済学の常識的な考え方の「インセンティブ」の問題とか「情報の非対称性」とか出てくるし、背景は硬派。

ただ、「経済学の王道」的な世界では本書の内容はセンセーショナルなのかもしれないけれど、いわゆる「まっとうな」社会学の世界とか、某北大の社会心理学の世界とかだと、まぁ当たり前の分析法だったり考え方だったりするかもしれない。

いずれにせよ、社会に対する面白い見方を提供してくれる本です。


「眼の誕生」

熱中して読んだ。

主張は「カンブリア時代に生物の多様性が高まったのは、生物が眼を獲得したから」の一言。
明快。

ちょっと説明すると、地球は今から46億年前にできたとされる。
それから数億年経た、39億年前に地球上に初めて生命が誕生。
その後30億年近く、ごく少数の種しか地球にいなかったとのこと。

しかし、5億4300万年前に、爆発的に種が増える。
そしてそれ以後は、あまり種が増えていない。
その理由に踏み込む本。
(なんだか、数字が大きすぎてピンとこないな。1日後の自分のあり方だって想像できない(俺だけかも)のに、億の単位で語られても、ねぇ。)

約5億年前に何が起きたかってーと、眼が誕生したって話。
聴覚でも嗅覚でもなくて、視覚が重要と主張されている。
聴覚や嗅覚は、生物自身から発生する(動くときの音とか、生体の分泌物とか)。
しかし、光は全ての生物に等しく降り注ぐ。動こうが、じっとしていようが、「見えちゃう」。
つまり、受動的に影響を受けてしまう点で、視覚が非常にクリティカル。

視覚の獲得は、「見る方」だけではなく「見られる方」にも淘汰圧をかける。
そのせいで、いっせいに種の多様化がなされたと主張している。

エッセンスはこれだけ。
最初の章を読めば答えは出てるので、すぐわかる。
すぐわかるから、ここにも書いた。

じゃあ、この本の残りに何が書いてあるかというと、「古生物学の基礎」(化石の話)とか、光の性質とか、視神経の説明とか。
門外漢の僕には、これらの枝葉がとても面白かった。
生物学から地質学、物理学などの知識が縦横無尽に説明されるのは、すごく勉強になった。
高校とか大学の一般教養とかで、なんとなく習ったはずの知識だけれど、目的もなく聞いただけだとチンプンカンプンだった。
しかし、この本のように「眼の誕生を解き明かす」というストーリーに沿って説明されると、水を吸うスポンジのようにどんどん話がわかってきた。

著者自身も認めているように、この本のメインテーマは、素人でもお酒を飲みながら語れるような内容。
しかし、そのワキをつめる議論は、酔った素人には無理な話であり、そこが著者のスゲェとこだと思った。
シャーロック・ホームズや古畑任三郎が、1つずつ証拠を集めて犯人に迫るような書き方。
知的ミステリー風科学啓発書として、すげぇ。

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